アナタはマスクをしないで明日仕事に行くかい?
寒さも緩み、頬を撫でる風も暖かくなってきた。
通りに佇むソメイヨシノは葉桜となったが、それもいっそうみずみずしい緑をたたえて、早春を彩る。
タンポポ、菜の花、チューリップ。様々な草花がワタクシを慰む。
そう、花粉の襲撃も山を越えたようである。
アレグラはまだ服用中ではあるし、点鼻薬も手放せない。それでも一山超えた安堵感が私を包む。
やっと、春の訪れを素直に喜べるようになった。
インフルエンザも、まさかの4月の襲撃からひとまずやっと収束を見せつつある。
ワタクシの勤める病棟では先日、インフルエンザA型のアウトブレイクが起きた。
一日目。一人の感染の確認。(この患者さんは怪しげな発熱があったにもかかわらず、インフルエンザの確定がされるまで数日を要した。この数日の出遅れは本来あってはならないものである)
二日目。三人の感染の確認。(いずれも、一例目とは異なる部屋でのバラバラな発症。いわゆる寝たきりで、一人で動くことはできない患者さんも含まれていた。)
三日目。六人発症。
これがこの日の夕方に確認された。各担当医、患者さん本人、患者の家族への報告、当直医へのインフルエンザ治療薬の処方依頼、薬剤部から薬を預かり、患者さんへ投薬。
そして、同室者へのタミフルの投与も、同上と同じ手順を踏む。
当然、一日目、二日目も同様の手順、対応がとられた。
ベッドはカーテン隔離され、面会も最低限とされ、人の出入りも最小限になった。
うちは整形外科病棟だというのに、リハビリさえも制限された。
それから、病棟では厳戒態勢が敷かれた。何しろ、どこからどのように感染が広まったのかわからないのだ。
これを記載している当日、感染者は解熱し、新たな感染患者も出ず、やっと感染者ゼロとなった。
今の時点で、看護師その他が感染を媒介した?との疑惑はぬぐい切れないが、今回の感染はどうやら患者さんの家族が持ち込んだ(ばらまいた)というのが、一番濃厚なセンである。
病院とはキレイな所だろうか?
多くのヒトは病院はクリーンな所とイメージしてはいないだろうか?
もちろん、病院は清潔でなくてはならない。
もちろんそれは当然だ。
新品のシーツに染み一つないのと同じくらいに当然のことだ。
病院はもちろん清潔に保つように努力をしている。
しかしどうだろう。
病院には、病人が集まる。病気をしている人が集まるわけで、抵抗力の弱った方が多い訳だから、感染症の流行などは病院以外の場所よりも、割合として起こりやすいのだ。
そして、今回一番大きな声で伝えたいのは体調がすぐれないヒトは病院に来ないで欲しいということだ。
いや、受診拒否ではない。
お見舞いとかそういう形だ。
病院は弱った方が大勢いるのだから、例えばインフルエンザの診断がなくとも、自覚のないままに実際ばらまかれるということが実際にあるのだ。
そういえば、駅前、人ごみ、電車の中。
マスクをしている人はまだ季節柄多いだろう。
多いが、どうだろう。
咳、くしゃみをしている人に限って、マスクをしていないことに気が付かないだろうか?
もちろんタダの花粉症かもしれないね。
でも、例えそうだとしてもナノミクロン単位でくしゃみの飛沫を浴びせられるのは気分が良くないのではないだろうか?
それが、アナタ、インフルエンザのウイルス入り、だっだら超嫌じゃあないかい?
マスクは自分を守るものであり、同時に他人への感染を予防するためのものでもあるのだよ。
ああ、もうあんなに月が高い。
明日も暖かくなるのだろうか。
そろそろアナタはマスクをしないで明日仕事に行くかい?
一つだけ、今度の大型連休に、新幹線、電車、シアター、大型ショッピングモールなどへ行く人は十分注意をするに越したことはないよ。
大勢の人間が移動し集まる場所で、なんらかの感染症が流行すると、私は思うのだよ。
どの新幹線に発熱の症状のある人が乗車し、のちに感染が確認された、みたいなニュースが流れるだろうと思うのだ。
そんなこと無いに越したことはない。
当然だ。
乗車券が無ければ新幹線に乗れないのと同じくらいに当然だ。
たとえば、建物の外部、自然豊かな所ならマスクは取り払い、生まれたままの素顔をさらしても問題はないだろう。
花粉症の人は鼻水が出るくらいのことだろう。
でも、人ごみでは今はそれは避けたほうがいい。
目には見えない最近や、ウイルスが空気の中にいっぱい漂っているはずだ。
麻疹、風疹、インフルA、B。
人の行きかうところ、どこにでもそういったものはいるのだよ。